NHK交響楽団 第113回 オーチャード定期:とにかく心地よい下野&N響サウンドを浴びる
先週に引き続き下野竜也さん指揮でN響オーチャード定期でした。今回も心地よい下野さん&N響サウンドを浴びて大満足です。もう完全に下野さんファンになりました。
概要
基本情報
曲目
その他
今回もコロナの影響で座席数は50%に抑えられていたそうですが、左右が空いている、という訳ではなく、ちょっと不思議でした。中央付近は満席に近い状態に見えました。50%に達したら販売終了、みたいな仕組みだったのでしょうか。
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェンの作品では珍しいバレエ音楽。タイトル的に重たい感じかと思っていたので、初めて聴いたときは、明るく親しみやすい曲でちょっと面食らいましたね。
そして下野さん指揮のN響でベートーヴェンは間違いない、ということは前週のピアノ協奏曲(2月公演@サントリーホール)で確信していたのですが、期待どおりとてもよかったです。下野さんの指揮だと1音目から、あ~良い響き……!最高……!来てよかった……!!!と感じるんですよね。冒頭の和音から心地良い和音、そしてアレグロの部分からは朗らかで楽しく、聴いていて思わずにこにこしてしまいました。
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
はい、ソリストの三浦さんが素晴らしかったです。とても健康的で豊かな音色で、オケに馴染んでいたというか、一体となって良い音楽を作られていたように感じました。それまでブラームスのヴァイオリン協奏曲のイメージってずっしり濃厚ガトーショコラというイメージだったのですが、今回の演奏は素材の甘さを活かしたバナナとナッツのタルトって感じでした(?)。
第2楽章は、ブラームスの秘めた思いみたいなものが感じられて、ちょっともどかしさもありました。下野さんのインタビュー内容に引きずられたかしら?
ブラームスに対しては、「好きなら好きとはっきり言えばいいのに」といつも思います(笑)。
そんなはっきりしない気持ちを抱えた第2楽章の後、ほぼ切れ目なく始まる、開放的で晴れやかな第3楽章。さすが下野さん、という音楽の作りにうきうきしました。
そして演奏後、下野さんと三浦さんがエア握手をしようとして、なんやかんやでジャンケンしているみたいにわちゃわちゃしていたのが可愛かったです。癒し。
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98
期待どおり、というか期待以上でした。とにかく心地よい下野&N響サウンド全開。
下野さんって、わりと全体的に落ち着いたテンポの印象があるんですけど、これってオケがよく鳴るテンポを狙っているんじゃないかな、なんてことを思いました(素人考えですが……)。だから下野さんの指揮だとこんなに豊かな音がするのかな、と。曲が進むにつれて、下野さんとオケの熱が高まっていくんだけれど、だからといってテンポがめちゃくちゃ速くなる訳ではなくて、あくまでもじっくり、良い音で熱い、厚い音楽を作り上げていく感じがとても好きです。
2月頭にNHKホールで聴いた尾高さんとのシベリウスもとても感動して印象に残っているのですが、尾高さんとのシベリウスは滝に打たれるような衝撃で、下野さんだと何だろう、レインシャワーみたいな心地よさ。とても気持ちよくてずっとこの音を浴びていたい、と願ってしまいます。
それと、このブラ4では、チェロ陣の素晴らしさが印象に残りました。第1楽章で、チェロとホルンで旋律を奏でる部分の、特に2回目(にわかなので適切な表現でなかったらすみません)がとても厚く美しくて鳥肌がたちましたね……。この日の首席は辻本さんでした。
そして演奏後にソリストを立たせるところで、トライアングルのポーズをするお姿があまりにも可愛らしくきゅんとしました。周りの方もざわついていたので、きっとみなさん撃ち抜かれたのだと思います。
ブラ4演奏後、トライアングル奏者の方を立たせるためにトライアングルポーズ(?)をされていたのがめちゃくちゃすきだった、という思い出らくがき pic.twitter.com/vhljHOklWQ
— 水澤 (@mizusawamina) 2021年3月1日
アンコール:ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」から行進曲
鳴りやまない拍手の中、「あ、忘れ物しちゃいました」とでも言うかのように、小走りで指揮台へ戻ってきた下野さん。軽快で短いアンコール曲が突如始まりました。下野さんのイメージにぴったり。すっきりした気分で帰途につくことが出来ました。
前週のサントリーホール公演、今回のオーチャード定期と、すっかり下野竜也さんのファンになった2週間でした。コロナがなければこの後の西日本ツアーも聴きに行きたかった……。ということで今月末に下野さんが振る都響SPのチケットを取りました。これまた楽しみです。
余談
ブラームス4番の1楽章が終わったあと、フルートの中村淳二さん一度席を立たれておや?と思ったのですが、どうやらピッコロを忘れてきてしまったようです(笑)こういうこともあるんですね。
高知、高松、兵庫と終えてN響ツアー前半戦終了。このご時世に様々なホールで演奏できるのは嬉しい事です。今日は三ノ宮の素敵朝食が食べれるホテルに泊まって体力回復。後半戦の鹿児島、佐世保も楽しみ!ブラームスの4番はピッコロ有ります!!(自戒) pic.twitter.com/IJffEOjJYH
— 中村淳二 Junji Nakamura (@junjiflute) 2021年3月3日
前週のサントリーホール公演の感想です。