バッティストーニ指揮 東フィル サマーミューザ公演 :情熱のイタリア音楽に沸き立つ一夜
バッティストーニさんと東フィルのコンビでイタリア音楽、それだけ間違いない、と思いチケットを取りましたが、実際は想像以上の楽しさでこの夏一番テンションが上がったと言っても過言ではない、最高の一夜でした。
概要
基本情報
- 2021年8月6日(金) 19:00開演(18:00開場/18:20~18:40プレトーク)
- 場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
- 指揮:アンドレア・バッティストーニ
- ハープ:吉野直子
曲目
その他
メインのローマの松の迫力を間近で感じたいと思い、ステージに近い座席を取ってみました。結果大正解。今回のサマーミューザ期間でいろいろな席を試してみて、大体自分の好みの座席が分かりました。需要ないかもしれませんが、余力があるときに、座席の特徴まとめとか書いてみようかしら。
また、今回は開演前に20分ほどバッティストーニさんのプレトークがありました。映像配信もあるので詳細は書きませんが、色々と曲にまつわるお話しを聞けて面白かったです。にわかなのでバッティストーニさんのことはあまり知らず、勝手にとても情熱的なイメージを持っていたのですが、プレトークはわりと普通(?)で、落ち着いた紳士という感じ。英語も聞き取りやすいし、丁寧にお話するお姿がとっても好印象。「俺のイタリア音楽を聴け!」という勝手なイメージを抱いていましたが、プレトークを聞いた後のイメージは「本物のイタリア音楽を聴かせてあげるよ」に変わりました(あまり変わってない?)。
ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」 から 序曲
はい、もう初っ端からめちゃくちゃたのしい!!!!!ひとことで言えば鮮烈。バッティストーニさんは暗譜で、もうこの曲は俺のものって感じでした。静かな冒頭の後、アレグロに入ったところから、結構バッティストーニさんの雄叫びが聞こえてびびりましたが、すぐに慣れました。指揮者の声や息遣いが聞こえるのは、ステージ近くで聴く醍醐味でもありますよね。鋭い視線の迫力も凄まじくて痺れました。
私が東フィルさんの演奏を聴くのは2回目なんですけど、前回は平日午後のコンサートで映画音楽特集だったんですね。その内容のせいか、座席(ステージから遠かった)のせいか、東フィルさんは上手くてソツがないけど、あんまり面白くないかも?という印象でした。が、今回で印象が全く変わりましたね、めちゃくちゃ面白いです、すみませんでした。
レスピーギ:組曲「シバの女王ベルキス」
続いてレスピーギの「シバの女王ベルキス」。全4曲の組曲で、今回は第2曲と第3曲を入れ替えて演奏されました。この順番入れ替え、演奏上の効果のため、などと言われていますが、自分はいまいちピンと来ていません……。緩-緩-急-急よりも緩-急-緩-急の方が良いということなのでしょうか?まあ後で詳しく調べてみます
この曲で印象的だったのは第1曲と第2曲での斎藤和志さんによるフルートソロ。どちらもエキゾチックな旋律なのですが、第1曲は明るくはっきりした音で、第2曲は柔らかく雰囲気のある音で吹かれていたんですよね。これはおそらく、第1曲はソロモン王の音楽で、第2曲はベルキスの音楽だからですよね。この吹き分けが出来るのが素晴らしいな、と感動しておりました(フルート超初心者の戯れ言すみません)。
第4曲では「狂宴の踊り」という言葉のとおり、それはもう熱狂的な盛り上がりでした。音の圧も凄まじく、テンションが上がらざるを得ない!フィナーレで、バッティストーニさんがジャンプ、そして着地と同時に金管のファンファーレがビシッと決まったのが格好よすぎでした!芸術点も高いですね。10点!10点!10点!
前半でこの盛り上がり、最後のローマの松はどうなってしまうのかしら、と思ってしまいましたね。おそらく現地にいらした方は同じことを考えていたのではないでしょうか。
ニーノ・ロータ:ハープ協奏曲
休憩後1曲目のハープ協奏曲は癒しでした。予習が間に合わず、本番で初めて聴いたのですが、とてもチャーミングな曲調で楽しく聴けました。
他のプログラムに比べると落ち着いた曲調ですが、後から思うと、ここで一息つけたのは結果的によかったです。絶妙なプログラミングでしたね。
そして、吉野さんのソリストアンコール(M.トゥルニエ:演奏会用練習曲『朝に』)がこれまた素晴らしかった。ハープの独奏を初めて生で聴いたのですが、こんなに広がりのある響きがするとは存じ上げませんでした。途中、他の楽器(フルートやヴァイオリン?)のような音が聞こえて辺りを思わず見回してしいましたが、これがハープの音なのですね。すごい楽器だ……
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
さてお楽しみの「ローマの松」。もうね、こういうローマの松が聴きたかった!というどストライクの演奏でした。大好きな曲ですし、盛り上がるのは知ってたけどこれまでとは。圧巻の演奏でございました。
第1曲「ボルゲーゼ荘の松」。始まりからきらきらしたイタリアの日差しが見えるような、輝かしいオープニング。快速で始まり、ちょっと木管がつんのめっている感じもありましたが、この曲はこのスピードで行くのだ、というバッティストーニの確固たる棒さばきにより全力で進んでいく様子は迫力がありました。
第2曲「カタコンベ付近の松」では一転、荘厳な雰囲気に。トランペットバンダはバックステージから。弦の囁きがよく聴こえて面白かったです。こういうハーモニーだったのね、と新たな発見がありました。
そして第3曲「ジャニコロの松」。フィナーレの迫力も凄まじかったのですが、実はここが一番印象に残っています。まずベヴェラリさんのクラリネットソロが絶品。月夜にひとり佇む淡い寂寥と美しさが一音一音から伝わってきました。ベヴェラリさんは、バッティストーニさんと同じイタリア・ヴェローナのご出身なのですね。もう何というか、この旋律のことはすべて分かってる、という感じがしました。また、クラリネットソロを支える、弱音器をつけた弦も、薄いヴェールのように繊細で美しく、これまた絶品でした。そして、このあとのクレッシェンドとディミヌエンドを繰り返しながらすこしづつ盛り上がっていく部分のなんとまあ官能的なことか。あんなに大人な雰囲気のある松は初めて聴きました……。あんまり書くと下品になってしまうのであれなのですが、最後の鳥の鳴き声を聴いて、「あ、これ朝チュンだったんだ」って思いましたもんね。
その甘く淡い夢が醒めるぎりぎりのタイミングで始まる第4曲「アッピア街道の松」。絶妙です。嫌でも盛り上がるこの曲ですが、この日はとんでもない盛り上がりでした。ffはもうこれが限界ではと思うところから、さらに3段階ぐらい大きくなって、あまりの音の圧に倒れそうでした。最後はホールが音で破裂するのではないか、と思うぐらい。もうこのエネルギーを浴びたら満腹・大満足、何も言うことはありません。
終演後も大熱演に拍手が収まらず、ソロカーテンコールがありました。最後はコンサートマスターの近藤さんを呼び、指揮棒と弓を交わす仕草も。このタイプの握手代わりの仕草、初めて見ましたが、魔法使いみたいで格好良いですね。素敵。
ありがたいことに配信があるので、8月31日の視聴期限まで観倒したいと思います(本記事はあえて配信を見返さずに現場の感想だけで書いたので、間違っているところもあるかもしれません……)。ご興味のある方は下記ご参照くださいませ。
下野竜也指揮 NHK交響楽団 6⽉公演:祈りの音楽に涙する2日間
2月公演に続いてパーヴォさんの代打で下野竜也さんが登場!ブルックナーの交響曲第0番はメインとしてそのまま残し、前半にフィンジとブリテンを持ってくるという、下野さんらしさ全開のプログラム。それぞれの曲に流れる「祈り」の響きに涙する2日間でした。
(以下、下野さんが好きすぎるオタクの戯れ言ですのでご注意ください)
概要
基本情報
曲目
その他
自分は大体開場時間ちょうどぐらいに到着して、ホールで音出しをしている様子を観察するのが好きなのですが、今回は西山兄弟(vc西山健一さん、cb西山健一さん)が合わせているところを目撃できて嬉しかったです。そして並ぶとあまり似ていないことが分かりました……(何の話ですか)。
そして今回下野さんは正装スタイルで登場!格好良い!とてもテンションが上がりました!!
#下野竜也 の指揮でブリテン《シンフォニア・ダ・レクイエム》、ブルックナー《交響曲第0番》など意欲的な演目で作品への共感に満ちた演奏をお届けした「6月公演 東京芸術劇場」初日が終演。盛大な拍手をお寄せ下さりありがとうございます!
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年6月11日
明日12日(土)14時からも、同会場、同演目で公演を行います! pic.twitter.com/zzoXvZJ3Eu
フィンジ/前奏曲 作品25~ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム
今回、下野さんの意向で前半2曲は続けて演奏されました。ということで感想も2曲続けて。
まず演奏されたのは、フィンジの前奏曲。フィンジは若くして父と3人の兄を、第1次世界大戦では作曲の師匠を亡くしています。そんな経験が影響しているのか、フィンジの作品は「祈り」の響きが色濃い気がします。
今回の演奏は、意外とテンポ速めで、低音を中心にぐいぐいとドライブ感すら感じられるような仕上がりでした。ヘ短調の哀しく美しいメロディで進行しますが、最後はクレッシェンドのあと、ヘ長調の輝かしい和音で締めくくられます。N響の美しいだけでなく逞しさを感じる弦の響きに、悲しみにそっと寄り添うだけでなく、明るい場所へ、ぐっと腕を引かれるような、そんな気持ちになり思わず目から水が……。
そしてアタッカで始まったブリテンのシンフォニア・ダ・レクイエム。癒しの音楽から一転、久保さんによるティンパニの鋭い打音から、不穏なフレーズが始まります。ブリテンが始まるときの下野さんの気迫が凄まじく、鬼気迫るものがあり圧倒されました……。今回のプログラムの中でも特に下野さんの熱量を感じたこの曲。一音一音に魂を込めるような指揮と演奏でした。
第1楽章〈涙の日〉は、すすり泣くようなフレーズが次第に盛り上がっては静かになり、を繰り返して、またティンパニの強打が入り、一楽章のクライマックスを迎えます。ぐっとテンポを落として演奏された、この強奏部分の迫力がとんでもなかったです……。芸劇いっぱいに鳴り響く恐ろしい怒りの音圧に痺れました。
切れ目なく演奏される第2楽章〈怒りの日〉。各パートが短いフレーズを繰り返しながら走り抜けるようなこの楽章。フレーズのニュアンスに下野さんのこだわりが見える、とても立体的な音楽が印象的です。
第3楽章〈永遠の安息を与えたまえ〉でニ短調からニ長調へ。穏やかなフルートの三重奏から始まります。首席の甲斐さんはじめ、N響フルートセクションの透明感のある音に癒されます。最後は低弦のピチカートにのって音楽が閉じられるのですが、なんだか、大変なことが多い世の中だけど、何とか歩いていこうじゃないか、というメッセージに感じられて、また目から水が出ました。
痛切な響きのある短調から、希望の光が差し込むような長調へと展開する2曲を続けて聴いて、下野さんの想いがひしひしと伝わってきました。
ブルックナー/交響曲 第0番 ニ短調
『音楽の友』(音楽之友社)2021年6月号のインタビューで、下野さんはブルックナーの聴き方について以下のように語っています。
ヨーロッパの森の中をゆっくり歩いてくような音楽と思うのはいかがでしょう、とアドヴァイスしています。森の木々はそんなに変化しません。(中略)でもどの瞬間も美しい。たとえばマーラーの交響曲のように、いつも事件が起こっている音楽ではないのです。喧噪にまみれた現代社会に生きている私たちに、ブルックナーの音楽は心の平安を教えてくれるのではないかと思います。
ブルックナーの0番は、くるくると表情を変えて、いきなりffからppになったりするこの曲。なんだか忙しないなくてよく分からんなあ、と思っていたのですが、今回の演奏を聴いて、本当にどの瞬間も美しく、魅力的な交響曲なのだな、と認識を改めました。
第1楽章。一音目からワクワクするような充実した響き。あ~下野さんだなあ、と改めて思いました。この曲では、どの楽器も喜びが溢れるような響きで、前半プログラムでの祈りに満ちた響きとの違いが面白かったです。特に金管の輝かしく荘厳な音は爽快でした!
あと、この曲では全般をとおして(1楽章だけでなく)、総奏でバーンと鳴らした直後にpで弦がささやく、という場面が多々現れますが、このときに金管をきもち長めに鳴らして、その残響が消えるか消えないか、というタイミングで弦が入ってくる、というのが見事だなあと。こういう微妙な響きのニュアンスを感じられるのはホールで聴く醍醐味ですね。
第2楽章はひたすら優しく美しい弦と木管。やっぱりN響の木管は良いですね。この曲の木管メンバーは下記のとおり。
Fl.甲斐、梶川
Ob.青山、池田
Cl.伊藤、山根
Fg.宇賀神、菅原
そして音楽とは関係ないですが、この日コンマスの隣は郷古廉さん。初めて生で拝見したのですが、めちゃくちゃイケメンですね!この第2楽章で、ふっと微笑んで弾いていらっしゃったお姿が印象的です。
第3楽章は一転、勢いのあるスケルツォ。歯切れの良い演奏が心地よいです。拙者、下野さんのスケルツォだいすき侍。楽しそうに振る下野さんが可愛らしいです。前半プログラムの鬼気迫る表情も格好良いですが、にこにこ笑顔の下野さんも捨てがたいですよね(?)。
第4楽章。第2主題(で合ってるかしら)で、1回目のヴァイオリンは風が吹き抜けるように爽やかにさりげなく、2回目のチェロの豊かに歌い上げるところが印象的でした。N響のチェロセクション、良いですよね(この日の首席は辻本さん)。
いやあ、本当に見事なブルックナー0番でした!舞台袖で「いい曲でしょ!」と仰った下野さんのブルックナー愛が炸裂した素晴らしい演奏。とても幸せな時間でした。
先ほどの🎥は、ブルックナー《交響曲第0番》の演奏終了後のカーテンコールの様子。
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年6月12日
下野さんは、舞台袖で「いい曲でしょ!」と一言。ステージではスコアを掲げていました。
2日目のカーテンコールでは、舞台上でスコアを掲げ、スコアに向かって拍手していました。こういう姿勢が演奏に顕れている気がして、とてもすきなのです。
#下野竜也 の指揮でブリテン《シンフォニア・ダ・レクイエム》、ブルックナー《交響曲第0番》など意欲的な演目をお届けした「6月公演 東京芸術劇場」2日目が終演。
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年6月12日
マエストロ下野とメンバーで共に作りあげた演奏は、空気を震わせ会場を音で満たしました!
🎥は本日のカーテンコールの様子です。 pic.twitter.com/HrrEwA5L2f
演奏後はすぐに指揮台から降りて、コンマスに促されてもめったに応じない下野さんですが、2日目は一瞬だけ指揮台に上がられました(上の動画ご参照ください)。本当に謙虚なお方ですよね……。あれだけの演奏を指揮したのだから、もっと前に出て!拍手をさせて!とも思うのですが、そこが下野さんらしくて好ましいです。
以上、下野さんが好きすぎるオタクのまとまりのない戯れ言でした。今月はあと1回下野さんチャンスがあるのでとても楽しみです!
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3474
尾高忠明指揮 NHK交響楽団 5⽉公演:親密なアンサンブルの多幸感とパヌフニクの衝撃
総勢10人のN響メンバーがソリストとして出演した今回の公演。はい!このプログラムを、あえてゲストを呼ばずにN響メンバーのソリストでやることにした方、天才です!神!本当にありがとうございました。
N響メンバー同士の親密なアンサンブルの多幸感が溢れたところに、締めのダイナミックなパヌフニクに殴られて、もう感情と言葉がまとまらず大変でした。
概要
基本情報
- 2021年5月15日(土)開場 5:00pm 開演 6:00pm
- 場所:サントリーホール
- 指揮:尾高忠明
- チェロ:辻󠄀本 玲(ハイドン/N響チェロ首席奏者)
オーボエ:吉村結実(モーツァルト/N響オーボエ首席奏者)
クラリネット:伊藤 圭(モーツァルト/N響クラリネット首席奏者)
ファゴット:水谷上総(モーツァルト/N響ファゴット首席奏者)
ホルン:福川伸陽(モーツァルト/N響ホルン首席奏者)
ハープ:早川りさこ(ドビュッシー/N響ハープ奏者)
トランペット:菊本和昭、長谷川智之、安藤友樹、山本英司(パヌフニク/N響トランペット・セクション) - コンサートマスター:白井 圭
曲目
- ハイドン/チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 作品101 Hob.VIIb-2
- モーツァルト/4つの管楽器と管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K. 297b
- ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲
- パヌフニク/交響曲 第3番「神聖な交響曲」
その他
ホールに入るとまず聴こえてきたのがハープの音。早川さんが念入りにチューニングされていました。インタビュー動画(下記リンク)でも拝見しましたが、ハープってチューニングがとても大変な楽器なのですね。でもチューニングですら美しいのは素敵。
ハイドン/チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 作品101 Hob.VIIb-2
小走りでステージに上がるソリストの辻本さん。やんちゃ感満載で可愛かったです(笑)
演奏の方は、辻本さんの豊かでハリのある音がとっても素敵でした。オケとのやり取りもさすがの上手さで、しかも楽しそうに弾くものだから、聴いていて・見ていて自然と頬が緩みます。
ぶらあぼの対談でお話しされていたカデンツァは、超絶技巧よりもメロディアスにたっぷりうたう感じで素晴らしかったです。とても好みでした。
モーツァルト/4つの管楽器と管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K. 297b
まずですね、吉村さんのドレス姿が可愛すぎでしたね……心の中で拝みました。
両手に花!
— 吉村結実 (@yyhautbois) 2021年5月17日
2日とも客席を温めて下さったFg佐藤さんとスパルタメイク指導のFl梶川さん🤣そしてプロ級ヘアセットをして下さったCb矢内さんと本日某所にて📷 pic.twitter.com/YY5hnQcOgK
4人のソリストが登場したこの曲。N響メンバー同士の親密なアンサンブルを目の当たりにして、多幸感が溢れました。本当に幸福な時間で、音楽を聴いてこんな気持ちになるとは……
特に、ホルンの福川さんがとにかくチャーミングですきになっちゃいますね。ソリストとだけでなく、オケとも目線で会話していてとても素敵でした。ちょっと意外(?)だったのは、ヴィオラ首席の佐々木亮さんとよくアイコンタクトを取りながら演奏していたこと。あまりお二人のイメージがなかったので、おお!と思いいつつ、とにかく楽しそうな福川さんに癒されました。そして水谷さんとはもはや見つめ合っていましたね。尊いです、とても。
もうひとつ印象的だったのは、ファゴットの水谷さん。1月のブランデンブルク協奏曲のときも思いましたが、水谷さん立奏だと結構ノリノリなんですよね。しゅっとしているのでとても様になっています。演奏の方も、水谷さんがオケからバトンを受け取って、ソリストたちにすっと渡す様子がとっても格好良かったです。
正直モーツァルトはすこし苦手だから、30分もモーツァルトか……と思っていました、すみませんでした、嘘です永遠に聴いていたかったです。
ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ソリストはハープの早川りさこさん。
美しさを極めた弦の響きに、これまた美しいハープの音色が浮かぶ圧倒的美の時間でした。ハープと弦楽のみの、小編成ならではの繊細なダイナミクスが素晴らしかったです。
今回は2階席だったので、インタビューで話題になっていた足捌きもよく見えました。普段はあまり見えないので知りませんでしたが、とても複雑なことをやっているんですね……。でもばたばたしているように見えず、とても優雅でした。
パヌフニク/交響曲 第3番「神聖な交響曲」
舞台の四隅に立ったトランペットのファンファーレから始まるこの曲。ホールいっぱいに響き渡る輝かしいサウンドにはっとさせられます。四隅に立つことで、音が立体的に聴こえて面白かったです。
そこからガラッと雰囲気が変わって、繊細で緊張感のある弦楽合奏が始まったかと思えば、唐突に迫力のあるティンパニの音でまたどきっとさせらます。
そして終楽章、祈りを囁くような弦の音に耳をそばだてていると、トロンボーンの和音を背景にフルート首席の神田さんのソロがふっと聴こえ、その圧倒的な透明感と清涼感に驚きました(この曲では驚いてばかりですね……)。
フィナーレでは、冒頭のファンファーレの再現にオケの響きが重なって迫力満点。尾高さんが振るときの、あの地の底から湧いてくるような凄まじいフォルテはなんなのでしょうね、いつもビビり散らかして目から水が出てしまいます。今回も例に漏れず目から水が出ました……。
演奏後、トランペットセクションの4人が前に集合したときの安心したような笑顔が最高でした。最後まで尊い演奏会です。
[本日(5/15)のソリスト]
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年5月15日
チェロ:#辻󠄀本玲 @reicellocello
オーボエ:#吉村結実 @yyhautbois
クラリネット:#伊藤圭
ファゴット:#水谷上総
ホルン:#福川伸陽 @Rhapsodyinhorn
ハープ:#早川りさこ
トランペット:#菊本和昭 @kikumotrumpet#長谷川智之 @TomoyukiTp#安藤友樹#山本英司 pic.twitter.com/K7Xysp62sE
いやあこれ、ソリストをN響メンバーでやるの本当に最高すぎましたね、あまりの尊さに気絶しかけました。冒頭でも書きましたが、この企画を考えた方、本当に天才だと思います。
尾高さんの指揮というのがこれまたよかった!安心感、安定感があって、真剣なんだけど、どこかお茶目で余裕がある。楽団員も安心して演奏している感じがして、圧倒的実家感を感じました。
私はいつもN響が好きでコンサートに行っているので、 正直、ゲスト奏者とのコンチェルトよりも、メインの曲を楽しみにしているところがありました。そんな自分にとって、今回のプログラムは本当に楽しいものでした。ぜひこれからもこういった企画をやってほしいですね。
NHK交響楽団 第113回 オーチャード定期:とにかく心地よい下野&N響サウンドを浴びる
先週に引き続き下野竜也さん指揮でN響オーチャード定期でした。今回も心地よい下野さん&N響サウンドを浴びて大満足です。もう完全に下野さんファンになりました。
概要
基本情報
曲目
その他
今回もコロナの影響で座席数は50%に抑えられていたそうですが、左右が空いている、という訳ではなく、ちょっと不思議でした。中央付近は満席に近い状態に見えました。50%に達したら販売終了、みたいな仕組みだったのでしょうか。
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェンの作品では珍しいバレエ音楽。タイトル的に重たい感じかと思っていたので、初めて聴いたときは、明るく親しみやすい曲でちょっと面食らいましたね。
そして下野さん指揮のN響でベートーヴェンは間違いない、ということは前週のピアノ協奏曲(2月公演@サントリーホール)で確信していたのですが、期待どおりとてもよかったです。下野さんの指揮だと1音目から、あ~良い響き……!最高……!来てよかった……!!!と感じるんですよね。冒頭の和音から心地良い和音、そしてアレグロの部分からは朗らかで楽しく、聴いていて思わずにこにこしてしまいました。
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
はい、ソリストの三浦さんが素晴らしかったです。とても健康的で豊かな音色で、オケに馴染んでいたというか、一体となって良い音楽を作られていたように感じました。それまでブラームスのヴァイオリン協奏曲のイメージってずっしり濃厚ガトーショコラというイメージだったのですが、今回の演奏は素材の甘さを活かしたバナナとナッツのタルトって感じでした(?)。
第2楽章は、ブラームスの秘めた思いみたいなものが感じられて、ちょっともどかしさもありました。下野さんのインタビュー内容に引きずられたかしら?
ブラームスに対しては、「好きなら好きとはっきり言えばいいのに」といつも思います(笑)。
そんなはっきりしない気持ちを抱えた第2楽章の後、ほぼ切れ目なく始まる、開放的で晴れやかな第3楽章。さすが下野さん、という音楽の作りにうきうきしました。
そして演奏後、下野さんと三浦さんがエア握手をしようとして、なんやかんやでジャンケンしているみたいにわちゃわちゃしていたのが可愛かったです。癒し。
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98
期待どおり、というか期待以上でした。とにかく心地よい下野&N響サウンド全開。
下野さんって、わりと全体的に落ち着いたテンポの印象があるんですけど、これってオケがよく鳴るテンポを狙っているんじゃないかな、なんてことを思いました(素人考えですが……)。だから下野さんの指揮だとこんなに豊かな音がするのかな、と。曲が進むにつれて、下野さんとオケの熱が高まっていくんだけれど、だからといってテンポがめちゃくちゃ速くなる訳ではなくて、あくまでもじっくり、良い音で熱い、厚い音楽を作り上げていく感じがとても好きです。
2月頭にNHKホールで聴いた尾高さんとのシベリウスもとても感動して印象に残っているのですが、尾高さんとのシベリウスは滝に打たれるような衝撃で、下野さんだと何だろう、レインシャワーみたいな心地よさ。とても気持ちよくてずっとこの音を浴びていたい、と願ってしまいます。
それと、このブラ4では、チェロ陣の素晴らしさが印象に残りました。第1楽章で、チェロとホルンで旋律を奏でる部分の、特に2回目(にわかなので適切な表現でなかったらすみません)がとても厚く美しくて鳥肌がたちましたね……。この日の首席は辻本さんでした。
そして演奏後にソリストを立たせるところで、トライアングルのポーズをするお姿があまりにも可愛らしくきゅんとしました。周りの方もざわついていたので、きっとみなさん撃ち抜かれたのだと思います。
ブラ4演奏後、トライアングル奏者の方を立たせるためにトライアングルポーズ(?)をされていたのがめちゃくちゃすきだった、という思い出らくがき pic.twitter.com/vhljHOklWQ
— 水澤 (@mizusawamina) 2021年3月1日
アンコール:ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」から行進曲
鳴りやまない拍手の中、「あ、忘れ物しちゃいました」とでも言うかのように、小走りで指揮台へ戻ってきた下野さん。軽快で短いアンコール曲が突如始まりました。下野さんのイメージにぴったり。すっきりした気分で帰途につくことが出来ました。
前週のサントリーホール公演、今回のオーチャード定期と、すっかり下野竜也さんのファンになった2週間でした。コロナがなければこの後の西日本ツアーも聴きに行きたかった……。ということで今月末に下野さんが振る都響SPのチケットを取りました。これまた楽しみです。
余談
ブラームス4番の1楽章が終わったあと、フルートの中村淳二さん一度席を立たれておや?と思ったのですが、どうやらピッコロを忘れてきてしまったようです(笑)こういうこともあるんですね。
高知、高松、兵庫と終えてN響ツアー前半戦終了。このご時世に様々なホールで演奏できるのは嬉しい事です。今日は三ノ宮の素敵朝食が食べれるホテルに泊まって体力回復。後半戦の鹿児島、佐世保も楽しみ!ブラームスの4番はピッコロ有ります!!(自戒) pic.twitter.com/IJffEOjJYH
— 中村淳二 Junji Nakamura (@junjiflute) 2021年3月3日
前週のサントリーホール公演の感想です。
NHK交響楽団 2⽉公演 サントリーホール :下野竜也マエストロのファンになった日
N響2月公演@サントリーホール。ひたすら心地よく響く下野&N響サウンドを浴びてきました。あまりに名演だったので、終演直後は語彙力を失っていましたが、何とか感想を書きました。
N響・下野さん指揮が最高で語彙力消失しましたね……
— 水澤 (@mizusawamina) 2021年2月18日
皇帝を聴いたわし「名曲では!???!?」
ラインを聴いたわし「名曲では!!????!?」
あとでちゃんと感想まとめよ……とにかく生で聴けてよかった……
概要
基本情報
曲目
プログラム詳細(機関紙フィルハーモニー)
その他
前後左右を空けた座席で快適です。お客さんの入りはぱっと見で6~7割、といったところでしょうか。中央付近はほとんど埋まっていた印象です。
そして今回初めてのサントリーホールでした!会場、スタッフさんの雰囲気ともに高級感があって良いですね。
シューマン/序曲「メッシーナの花嫁」作品100
オープニングはメッシーナの花嫁。前週の『売られた花嫁』はタイトルに反して(?)明るい曲でしたが、こちらはひたすらつらい……苦しい……みたいな曲調で、正直あまり記憶がありません……。予習があまり出来ていなかったのもありますが、ちょっと自分にはまだ掴みきれない曲でした。
フィルハーモニーに『途中管楽器主体の柔らかな旋律(第2主題)が1回目は変イ長調、終盤の2回目には変ホ長調で現れ、2回目の響きは本日のコンサートの「続き」を指し示すことになる。』と書かれていたので注意して聞いていたのですが、さっぱり分かりませんでした!素人には無理っす!音楽難しいですね!(ただ私がばかなだけです)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
さて、気を取り直して皇帝です。予習として色々調べたり、音源を聞いたりしていたのですが、どうもあの節約生活をするバラエティ番組のイメージが当日まで拭えず……。
でしたが、曲が始まった瞬間にそんなチープなイメージは吹き飛ばされました。一音目からオケの充実した明るい音が鳴り響き、直後にそれに負けずに明るく豊かな清水さんのピアノの音が続きます。下野さんの指揮のもと、オケとピアノのやり取りもばっちりで、すっと胸のすくような演奏でした。いや~皇帝、名曲ですね!!!
シューマン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品97「ライン」
皇帝に続き、一音目から良い音で、ああ~下野さんの指揮良いなあ~すき!となりました。
快活で明るい第1楽章、広大なライン川をたゆたうような第2楽章、やさしく癒し系でありながらちょっと翳のある第3楽章、そしてひたすら緊張感のある第4楽章。特にこの第4楽章が印象に残りました。それまでの明るさをしまって、ぐっと抑え込むように、最低限の動きで指揮をする下野さんのお姿が脳裏に焼き付いています。重苦しいけれどひたすらに美しい響きに救いの光が薄く見えるような気がしました。そして、うってかわってとにかく明るく楽しい第5楽章。これを最高と言わずに何を最高というのだろうか、という心境でした。
全体をとおして、奇をてらわない、ほどよくメリハリのある作りで、聴いていてとにかく心地よい。これが下野さんサウンドかあ、と非常に感動しました。2月27日のオーチャード定期も下野さん指揮ということでとても楽しみです。
余談ですが、フルートの中村さんのこちらのツイートがツボで、演奏を聴いている間ちょくちょく思い出していましたが、当の中村さんは涼しい表情で吹いていました(当たり前か)。
今日はシューマンの「ライン」。広大すぎてキツい。とにかくキツい。
— 中村淳二 Junji Nakamura (@junjiflute) 2021年2月17日
私には「加茂川」くらいがちょうど良い…
そして、もはや音楽の本流とは全く関係ありませんが、コロナの影響で指揮者とコンマスやソリストが握手の代わりに肘タッチをするのがスタンダードな光景になりつつありますね。自分はそれを見るのがとても好きなのですが、下野さんはエア握手(?)派でした。それを真似したのか、オーボエ~ファゴットセクションあたりの方々が舞台からはける前にエア握手をしあっていたのが微笑ましかったです。そしてフルートセクションはいつもどおり肘タッチをしていたので、中心に向かうにつれて肘タッチ派とエア握手派が混ざってわちゃわちゃしていて大変癒されました。こう、演奏中の真剣なお姿とのギャップが良いですよね。
次は月末のオーチャード定期に参加予定です。ブラ4がとにかく楽しみです!
NHK交響楽団 2⽉公演 東京芸術劇場 :ファウスト様の美音に酔いしれる
N響2月公演に行ってきました。フルートセクションのファンでクラシックど素人の感想や自分用メモです。マロ様のお父さんっぷりとファウスト様の繊細で美しい音色が印象に残る演奏会でした。
概要
基本情報
- 日時:2021年2月13日(土)2:00pm
- 場所:東京芸術劇場 コンサートホール
- 指揮:熊倉 優
- ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
- コンサートマスター:篠崎 史紀
曲目
プログラム詳細(機関紙フィルハーモニー)
『気鋭指揮者、ドイツの名ヴァイオリニストと奏でる中欧の味わい深い響き』と題した本プログラム。ひたすら明るいオープニングから、まさに『味わい深い』繊細なヴァイオリン協奏曲、そして華やかなドヴォルザークの第6番と、元気をもらえるような内容でした。
その他
今回は1階席の真ん中あたりのブロックを取ってみました。オペラグラスは不要なほどの近さ(一応持っていきましたが使いませんでした)でしたが、東京芸術劇場はひな壇が低いのか、あいにく贔屓のフルートセクションの方々が見づらかったので、2階席の方が自分としては良いのかなと思いました。木管推しの方は1階席後方(E列まではフラットなので、最低でもF列以降)もしくは2階席以上が良いかもしれません。また、音の迫力はありますが、近いがゆえに独立した音として聞こえる、というのも気になるポイント。もう少し離れた方が、オーケストラとしての響きを楽しめそうです。ただ、指揮者とCMの表情、やり取りがよく見えたのはとても良かったです。
本日のフルートセクションは、主席・甲斐雅之さん、梶川真歩さん、1曲目のみピッコロで菅原潤さんでした。甲斐さん・梶川さんコンビが何だか癒し系ですきなんですよねえ。また、今回のような明るく華やかなプログラムに合っている気がします。
そして、梶川さんは黒マスク(おそらくポリウレタン)の上に白の不織布マスクのダブル使いで登場。Twitterで書かれていたやつだ!とテンションが上がりました。
ポリウレタンのマスクは効果が薄いからダメ。と聞いて、不織布のマスクを使い始めましたが、なんだかスカスカして寒いし鼻に繊維がふわふわするし、マスクの跡がつく。しかし、ポリウレタンの上から不織布マスクしたらこれ良き。温かく(冬限定) 跡付かず、鼻こそこそせず😷💕
— 梶川真歩 Maho Kajikawa (@mahokajikawa) February 9, 2021
スメタナ/歌劇「売られた花嫁」─ 3つの舞曲
前半プログラム1曲目。歌劇「売られた花嫁」は、ボヘミア地方の農村を舞台にしたチェコ語のオペラ。なんやかんやあってハッピーエンドなお話しです。詳しくは上記にリンクを貼ったフィルハーモニーをご参照ください。
終始明るくダンスを踊っているかのような楽しい曲調で、聴いているだけでにこにこしてしまいます。CMのマロ様(篠崎史紀さん)がノリノリで弾いていて、熊倉さんも楽しそうに振っていて、何だか聴いているこちらも楽しく幸せになりました。
シマノフスキ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 作品35
個人的に今回の演奏会で一番印象に残りました。とにかくファウスト様の演奏が素晴らしかった。針の穴に糸をとおすような、繊細さを極めた美しい音色に思わず引き込まれます。こんなに繊細な音なのに、オケの音に埋もることなくしっかり響いているのが凄い。
お衣装もとても素敵で、グリーンの植物柄(?)のドレス。よくお似合いでした。この衣装のイメージと、とらえどころが無いようなシマノフスキの曲調から、何となく、霧深い森の奥に住む美しく気高い女王様、というイメージ。
短音をジャッ、ジャッと弾く部分があったのですが、そのときの鋭い目つきが、まるで銃で獲物を撃ち抜くような雰囲気で、無事にわたくしの心臓は止まりました。格好良すぎて惚れます。ありがとうございました。
【本日のアンコール】
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年2月13日
2/13(土)
東京芸術劇場
イザイ作曲
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 -第2楽章 「憂うつ」
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
🎥はカーテンコールから戻ってくる #熊倉優 さんと #ファウスト さん。
そしてファウストさんはアンコール演奏のために再びステージに! pic.twitter.com/1LbXZ4ayH9
ドヴォルザーク/交響曲 第6番 ニ長調 作品60
楽しみにしていたドヴォルザークの第6番。1楽章はすこし不安定な感じがして、おや?と思いましたが、2楽章からは持ち直したような気がしました(気のせいかもしれません)。各楽器がよく鳴っていた印象ですが、全体的にすこしまとまりの無さを感じたのは、これも気のせいでしょうか……。
ただこれは、おそらくオケが指揮者を盛り立てようとしていたからかな、とも考えています。そんな雰囲気がよく伝わってきて、これはこれで面白いな、と思いました。熊倉さんを育てていこう、というN響の意気込みの表れなのかなと。前週に聴いた尾高忠明さんとの熱いタッグとはまた異なる、温かく見守るような雰囲気は、これはこれで良いものです。熊倉さんのこれからに期待したいです(謎目線)。
今回は全体をとおしてマロ様のお父さんっぷりが印象に残りました(笑)。曲が終わったあと、笑顔で熊倉さんにお辞儀を促すマロ様、完全にお父さんのそれでした。こんなマロ様を見られただけで、来てよかったな、と思ったり。
今回の演奏は、本日(2/17)の19:00~NHK FMのベストオブクラシックで流れるようなので、録音を忘れないようにしたいと思います。
NHK交響楽団 2⽉公演 NHKホール :大迫力の尾高シベ1に痺れる
2月最初のNHKホールでの公演の感想です。これが書きたいがためにブログを始めたまであります。N響のコンサートを聴くのは2回目だったのですが、尾高さんとのシベリウス第1番に衝撃を受けました。おそらく一生忘れないと思います。
(基本的にクラシックど素人、フルートセクションファンのオタクの戯言です)
概要
基本情報
曲目
プログラム詳細(機関紙フィルハーモニー)
その他
お客さんの入りは半分くらいでしょうか。NHKホール改修工事前ラストの演奏会ということで、もうすこし人が入るのかと思っていましたが、空席が多いのはもったいないですねえ……
座席について。前回、初めて行ったN響公演(@東京芸術劇場)では3階席前方の座席を取ったのですが、もう少し近い方が良いな、と思ったので、今回は2階席右側前方の座席にしてみました。結果大正解でした。程良い音の迫力と、オペラグラス無しでも演奏者の表情がぎりぎり見える距離。次回からもここが良いと思うも、ホール改修のためしばらく機会はないのでした。残念。
武満 徹/3つの映画音楽
弦楽の組曲。美しく湿度のある音楽が弦楽ならではの繊細な響きで奏でられ、ぐっと引き込まれました。
映画は見たことがないけれど、なんとなく情景が浮かんだのが不思議です。特に『他人の顔』より《ワルツ》が気に入りました。
ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
そしてチェロ協奏曲。横坂さんの演奏は結構繊細な感じがしました。それまで予習のために情熱的な演奏のCDを聴いていたから余計そう聞こえたのかもしれませんが……。こういう忙しい曲より、アンコールの無伴奏チェロ組曲第2番のような、たっぷり聴かせる曲の方が合っているように感じました。
【本日のアンコール】
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年2月6日
2/6(土)
NHKホール
バッハ作曲
無伴奏チェロ組曲 第2番 二短調 BWV1008
―サラバンド
チェロ:横坂 源 pic.twitter.com/mdH6Bpd6EU
ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲は、ホルンが一人という面白い編成。今回の演奏では、首席・福川さんが主役を奪う勢いで、申し訳ないけれど、そちらの方が印象に残りました。横坂さんが弾いているところに、余裕をも感じさせる勢いでぴったりと併走するようなイメージ。いや~素晴らしかった。
シベリウス/交響曲 第1番 ホ短調 作品39
これが一番印象に残りました。尾高さんはシベリウスが十八番とは聴いていましたが、これほどまでとは……。
クラリネットの仄暗くも暖かみを感じるソロから始まる第1楽章。もうね、第1主題からの迫力が凄まじい。あまりの音の迫力に、ずっと座席の背もたれに押さえつけられたようになって固まっていました。あの、ジェットコースターに乗ってるときの感覚のような、全く動けない状態です。音楽を聴いてこんなことになったのは初めてでした……。
美しく清々しさのある弦、温かく優しい木管、荘厳で迫力のある金管と打楽器。雄大で厳しくも、優しく美しいフィンランドの大自然が見えました(何故かたまに長野あたりの高原のイメージが頭に浮かびましたが、それはN響だから?)。
第4楽章は特に凄まじいエネルギーで圧倒されました。曲が進むにつれて情熱的になっていく尾高さんの指揮と、それに全力で応えるN響メンバーが生み出す音の圧。あまりにも素晴らしく、ちょっと泣いてましたね……。最後の4小節ぐらいからピチカートの音が消えるところまで思わず息を止めていて、客席から拍手が聞こえ始めてようやく息が出来るようになりました……。
後日、録音していたFMラジオ中継を聞いたのですが、解説の一柳さんが解説席に戻ってきての第一声が「あ、もうなんか参りました!って感じです」と仰っていて、分かる!!!!!!となりましたね。
こんな素晴らしい演奏に導く尾高マエストロ、それだけでファンになってしまったのですが、翌日にN響公式Twitterにあげられたお茶目なお姿に完全に落ちました。可愛すぎます……
【2/7のバックステージから ~番外編~】
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) 2021年2月7日
シベリウス《交響曲第1番》の直前、緊張感が高まる舞台裏で、マエストロ #尾高忠明 を📸におさめました。
真剣な表情だった尾高さんが突然、2枚目のお茶目😜な表情に!
張りつめた雰囲気が、一気に和らぎました☺️ pic.twitter.com/Qjrs1z6xjg
ここからは完全にオタクの戯言なので読み飛ばしていただいて構わないのですが、
わたくし、神田先生がきっかけでN響にはまった、にわか神田先生ファンなんですね。この日、初めて神田先生を生で拝見して痺れましたね。
まず立ち姿が美しい。ひたすら画になります。そしてさりげないポケットチーフが素敵。スクエア形というのもイメージにぴったり(ちなみに翌週の甲斐先生はスリーピークスっぽかったです、こちらも素敵でした)。
燕尾服でなくスーツというのはすこし残念ですが、それぞれのお洒落なこだわりが垣間見えて、これはこれでとても楽しいです。
そして神田先生の演奏を聴いて、あまりの上手さに語彙力を失いました。プロに上手いと言うなんて最早失礼極まりないですが、聴いた直後はそれだけでしたね……。
なんというか、すごくまっすぐで意思・意図のある音だけど、主張が強すぎる訳でもなくスッと耳に入ってくる感覚で、感動しました。ますますファンになった一日。これからも機会がある限り聴きに行きたいと強く思いました。おしまい。